○災害調査報告規程
平成8年3月25日
消本訓令第9号
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、火災の原因並びに火災、風水害、その他の災害(以下「災害」という。)の損害調査及び報告等について必要な事項を定めることを目的とする。
(調査の実施)
第2条 調査は、災害が発生したことを確認したときこれを行い、調査に際しては関係法令に定める事項を遵守するほか、この規定の定めるところによつて行わなければならない。
(調査員)
第3条 消防署長(以下「署長」という。)は調査を主掌し、調査員は、指導係とする。ただし、消防長又は署長から特に命を受けた者は調査員として調査にあたらなければならない。
第2章 調査員の心得
(常時の心得)
第4条 調査員は、常に消防関係事象並びに関係法令の研修に努めるとともに、社会動向に留意し、調査技術及び調査能力の向上に努めなければならない。
(職責の自覚)
第5条 調査にあたつては、常に公共の福祉増進に資することを自覚し、不屈の精神をもつて臨み、冷静周密に原因の探究に努めなければならない。
(協力)
第6条 調査員は、相互に連絡協調し、速やかに調査の進展を期するよう努めなければならない。
(関係機関との協力)
第7条 調査にあたつては、関係機関と緊密な連携を保持し、協力しなければならない。
第3章 現場保存
(消火活動中の保存)
第8条 消火活動にあたる者は、消火に際して焼失前の状態を推知できるよう留意しなければならない。
2 残火鎮滅に際しては、発火場所と認められる箇所及びその付近の物件を移動し、又は原形を変更する場合は、事後の調査に支障をきたさないように処置しなければならない。
3 最先着隊の隊長及び隊員等は、活動中に見分した内容を火災出動時における見分調書(第1号様式)に記録し、現場見分調書の補完資料としなければならない。
(保存区域の設定)
第9条 調査員は、消火活動終了後直ちに保存の必要ある区域を設定し、その保全に必要な措置を講じなければならない。
第4章 原因調査
(調査の原則)
第10条 火災原因の調査(以下「原因調査」という。)は、常に事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法と合理的な判断により出火原因の究明に努めなければならない。
(調査の方針)
第11条 原因調査は、物的調査と人的調査を併用し、原因の判定にあたつては物的調査に主眼をおかなければならない。
(物的調査)
第12条 物的調査は、総括的にみた燃焼度合並びに建築物、火気、電気等の施設及び器具若しくは物件の焼損状況を綿密に見分して、火災原因又は出火点の判定資料としなければならない。
3 前項の現場見分調書の記載は、主観を入れることなく客観的に表現しなければならない。また、補足するために写真や図面等を活用するものとする。
(人的調査)
第13条 人的調査は、早期発見者、通報者、火元関係者、その他関係のある者に対して、出火前後の模様及び火気その他発火物と思料されるものの使用又はその取り扱い状況等について質問し、現場見分調書の補完資料にしなければならない。
3 前項により録取した質問調書は、被質問者に対して録取した内容を確認させ、誤りのないことを認めたときは、署名を求めておかなければならない。
(官公署への照会)
第14条 官公署に対し、調査のために必要な資料を求める場合は、火災原因調査照会書(第4号様式)による。
(被疑者への質問及び押収物件の調査)
第15条 警察署に留保されている放火、失火の被疑者への質問又は押収された証拠物件を調査するときは、質問又は証拠物調査請求書(第5号様式)による。
(証拠物件の取扱い)
第16条 調査員は、火災の現場において必要な証拠物件の収集に努め、その取り扱いにあたつては、き損、紛失等のないように適切な方法を講じておかなければならない。
2 火災原因又は立証のため物件の発掘、移動等にあたつては、写真、撮影、模写等によつて発掘又は、移動前の状況を把握しておかなければならない。
(現場写真)
第17条 現場写真の撮影は、焼き部分の全体における位置、各部分との関係を考慮するとともに、必要に応じて尺度を置いて行うこと。
2 現場写真のうち証拠となるものは、写真台帳(第6号様式)を使用し、必要な説明を加えておかなければならない。
(資料の提出命令)
第18条 関係者に対し物件又は資料の提出を命ずるときは、提出命令書(第7号様式)を交付して行わなければならない。
(鑑定)
第19条 調査のため必要あるときは、関係者に了解を得たのちに署に持ち帰り、詳細に見分することができる。その際に見分した内容は鑑識見分調書(現場見分調書と同)に記載し、火災原因の判定資料としなければならない。その他にも、官公署又は学識経験者に対し鑑定を依頼することができる。
(証拠物件の返還)
第20条 証拠物件又は資料で調査が終了し、保管の必要がなくなつたときは、保管物還付請書(第10号様式)を徴し返還しなければならない。ただし、返還希望のないものはこの限りではない。
(火災原因の判定)
第21条 火災の原因判定は、火災現場調査で見分した事実や、関係者の証言などを資料とし、それらに論理的考察を加えて消防機関としての最終結論に至らなくてはならない。
第5章 損害調査
(調査の対象)
第22条 損害調査は、火災及び消火のために受けた損害又は風水害その他の災害の被害について行う。
(損害の見積)
第23条 災害によつて損害を受けた財産は、不動産り災申告書(第12号様式)を基に時価で評価し、損害の基準は別に定める。
第6章 報告等
(追加報告)
第25条 前条の規定に基づいて報告した後調査を実施し、新たに発見したもの又は不明であつたものが判明した場合は、速やかに追加報告する。
(調査資料の整備)
第26条 署長は、火災の原因及び損害の程度等を調査したときは、火災調査書(第15号様式)を作成しなければならない。
2 前項の他に、次の資料を整備しておかなければならない。ただし、軽微なものについては全部又は一部を省略することができる。
(1) 延焼状況等調書(第16号様式)
(2) 出火建物・避難状況等調書(第17号様式)
(3) 危険物施設等調書(第18号様式)
(4) 死傷者調査書(第19号様式)
(5) 防火管理者等調査表(第20号様式)
(6) 建物平面図、付近見取図、発火点、付近の復元図
(7) 火災損害調査書(第21号様式)
(8) 建物損害算定書(第22号様式)
(9) 動産損害明細書(第23号様式)
(10) 防ぎよ活動調書(第24号様式)
(11) その他必要と思われるもの
(準用)
第28条 この規程に定めのない事項並びに火災の原因等については、火災報告要領(昭和43年11月11日付け消防総第393号)による。
附則
この訓令は、平成8年4月1日から施行する。
附則(平成29年3月15日消本訓令第1号)
この訓令は、公布の日から施行する。
り災証明取扱要領消防本部訓令(昭和49年)は廃止する。