○口頭指導に関する実施基準

平成28年8月26日

1 目的

この実施基準は、消防機関が行う救急現場付近にある者に対する応急手当の口頭指導について、その実施方法等必要な事項を定め、もつて救命効果の向上に資することを目的とする。

2 定義

この実施基準において、口頭指導、口頭指導員及び応急手当実施者の定義は次のとおりとする。

口頭指導 救急要請受信時に、消防機関が救急現場付近にある者に、電話等により応急手当の協力を要請し、口頭で応急手当の指導を行うこと。

口頭指導員 119番通報を受ける等の指令業務に従事している者の中で、別に定める口頭指導を行うための要件を満たす消防職員

応急手当実施者 口頭指導員により口頭指導を受け傷病者に対し応急手当を施行する者

(口頭指導員の口頭指導を施行者に伝える者も含む。)

3 口頭指導の指導項目

消防機関が口頭指導を行う際の指導項目は次のとおりとし、各消防機関で定めたプロトコルに基づき実施すること。ただし、プロトコルは地域メディカルコントロール協議会の確認を得ておくものとする。

また、消防機関の実情に応じて、中毒の処置等その他の手当の指導項目を設けることは差し支えない。

(1) 心肺蘇生法

(2) 気道異物除去法

(3) 止血法

(4) 熱傷手当

(5) 指趾切断手当

4 口頭指導の実施要領

(1) 口頭指導実施及び中止の判断

口頭指導は、口頭指導員が聴取した内容から応急手当が必要であると判断した場合に実施する。また、応急手当実施者が極度に焦燥し、冷静さを失つていること等により対応できない場合及び指導により症状の悪化を生じると判断される場合は中止する。

(2) 各口頭指導に繋げるための導入要領

通報者から必要な事項を迅速かつ的確に聴取し、傷病者の状態に応じた医学的に適切な口頭指導が行えるよう、各口頭指導につなげるための導入要領の策定に努めるものとする。

(3) 口頭指導員の要件

口頭指導員は、次のいずれかに該当する者をもつて充てるものとする。

ア 救急救命士

イ 救急隊員の資格を有する者

ウ 応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要領(平成5年3月30日付け消防救第41号)に基づく応急手当指導員

また、口頭指導員が119番の通報内容から心停止を的確に識別し、又はCPR指導の実効性及び迅速性を高めるためには、救急に係る医学的な知識の習得が不可欠であることから、指令業務に携わる職員の資格(救急救命士資格、救急隊員資格)、実務経験、教育体制等を考慮して、それぞれの消防本部で資格に応じた講習時間や講習内容等を設定することが望ましい。

(4) 口頭指導の内容

口頭指導員は、口頭指導を行うに際し、既に救急隊が向かつている旨を伝える等応急手当実施者に安心感を持たせるとともに、原則として各項目のプロトコルの内容に従つて指導するものとする。

ただし、口頭指導員のうち、上記(3)のア又はイの要件を満たす者は、症状の改善が期待できると判断した場合は、各項目のプロトコルの項目以外の中毒等の処置についても口頭指導を実施できるものとする。

(5) その他

ア 口頭指導を実施すべき事案であると判断した場合は、各プロトコルに従つて、速やかに指導を行うものとする。

イ 口頭指導を実施する場合、感染防止上の留意事項についても配慮した指導を行うものとする。

ウ 口頭指導を実施した場合、出場中の救急隊に対してその内容について適切な方法により伝達するものとする。

5 口頭指導に係わる記録

口頭指導員は、口頭指導を行つた場合は、口頭指導を行つた年月日、時刻、口頭指導員名、応急手当実施者、指導項目及び指導内容並びにその口頭指導による応急手当の実施又は不実施の現場状況、傷病者の予後等について、該当救急隊等に確認し記録しておくこととする。

6 口頭指導に関わる事後検証等

通信指令業務のうち救急に係る内容については、地域メディカルコントロール協議会において、通信指令員の出席の下で事後検証を行うものとする。

また、口頭指導、コールトリアージ(通信内容から緊急度及び重症度を判断し、出動隊の選別、事前の医療機関選定等を行うこと。)及び通信指令員に対する救急に係る教育に関して、地域メディカルコントロール協議会との連携体制を構築し、口頭指導及びバイスタンダーの心肺蘇生の実施率向上に努めること。

※制定期日等(平成28年8月26日付け渡西消本号消防長通達)

1 この基準は、平成28年9月1日から実施する。

2 口頭指導実施基準等について(平成12年6月28日付け渡西消本号消防長通達)は廃止する。

口頭指導に関する実施基準

平成28年8月26日 種別なし

(平成28年9月1日施行)

体系情報
第8編 防/第4章
沿革情報
平成28年8月26日 種別なし